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Super Silver Haze|Haze × NL#5 × Skunk の三軸均衡が生んだ“近代サティバの完成形”を遺伝学で解明

cannabis Strain
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はじめに

Super Silver Haze(SSH) は、Haze × Northern Lights #5 × Skunk #1 の三重交配から生まれた、90年代サティバの最高傑作です。
1997〜1999年の High Times Cannabis Cup を3連覇し、“近代サティバの完成形”として世界的に評価されました。

SSH は Amnesia Haze や Super Lemon Haze、Mango Haze など数多くの後継品種の基礎となる遺伝的中核であり、
「Hazeの覚醒性 × Northern Lights #5 の安定性 × Skunk の香気厚」を同時に成立させた唯一の歴史的株です。

本記事では、SSH を科学的・遺伝学的に分析しつつ、現代ハイブリッドとの比較視点も交えて、その本質に迫ります。

  • 品種名: Super Silver Haze(SSH)
  • タイプ: サティバ優勢ハイブリッド(約 70–80% Sativa)
  • 交配: Haze × Northern Lights #5 × Skunk #1
  • THC: 18〜23%(平均 20–21%)
  • CBD: <0.5%
  • CBG: 0.3〜0.8%
  • 主要テルペン: テルピノレン、ミルセン、β-カリオフィレン、リモネン
  • フレーバー: シトラス、白胡椒、ハーブ、松脂、ウッディ
  • 効果: 覚醒・集中・軽い多幸感、過度な不安を伴わないクリアなハイ
  • 栽培難易度: 中〜上級者向け(Haze 系らしい伸び・湿度弱さあり)
  • 開花期間: 10〜11週(Haze系としては短め)
  • 収量: 屋内 500〜650g/m²/屋外 最大 800g/株
  • 誕生: Green House Seeds(1990年代)
  • 受賞歴: High Times Cannabis Cup 3連覇(1997・1998・1999)
  • 位置づけ: 近代サティバ遺伝学の完成点(Amnesia・SLH の原型)

遺伝構造(Genetic Structure)

Super Silver Haze は以下の三重交配で構成されています:

  • Haze(Santa Cruz系) ─ 覚醒性・柑橘スパイス香・長花期・テルピノレン支配
  • Northern Lights #5 ─ 樹脂量・収量・構造安定性を付与
  • Skunk #1 ─ 香気の厚みと遺伝子親和性を補完

この三交配により、SSH は “サティバ覚醒 × インディカ安定 × スカンク香気” の三軸バランスを獲得しています。

遺伝学的には F1〜F2中間モデルに位置づけられ、ハイブリッド強勢(heterosis)と表現型安定性の両立を試みた初期成功例として知られています。

特に重要な遺伝子座:

  • TPSb(テルピノレン合成) ─ 覚醒性とハーブ/シトラス系香気を形成
  • TPSa(β-カリオフィレン合成) ─ スパイス/樹脂感を付与
  • THCAS(THCA合成酵素) ─ Type I(高THC型)を規定
  • Skunk系芳香族遺伝子座 ─ 香気の厚みと方向性を補正

SSH の本質は、Haze の多遺伝子サティバ構造に、NL#5 と Skunk が秩序を与えた「安定化されたヘイズ」である点にあります。
これにより、古典ヘイズでは扱いにくかった「長花期・不安定・低収量」の弱点を克服し、現代サティバの原型となりました。

化学的プロファイル(Cannabinoid & Terpene Profile)

Super Silver Haze(SSH)は、典型的な Type I(高THC)サティバ に分類され、
Haze 系としては極めて安定した化学的プロファイルを示します。

  • THC: 18〜23%(平均 20〜21%)
  • CBD:
  • CBG: 0.3〜0.8%
  • テルペン総量: 約 1.6〜2.0%

SSH の覚醒性を規定しているのはテルピン系の構造で、特に テルピノレン(主導) が特徴的です。

主要テルペン

  • テルピノレン(0.4〜0.7%) ─ Haze の象徴。柑橘・ハーブ・白胡椒の気配。
  • ミルセン(0.2〜0.4%) ─ ハーブ感とボディ緩和を付与。
  • β-カリオフィレン(0.2〜0.3%) ─ スパイス・刺激感の骨格。
  • リモネン(0.15〜0.25%) ─ 柑橘の明るさを補う。

この組み合わせは、「爽快な覚醒感 × 緩やかな集中力」 を生む、古典サティバとしての理想バランスを構築しています。


香りとフレーバー(Aroma & Flavor)

SSH の香りは、Haze の特徴である柑橘・白胡椒・ハーブ・サンダルウッドを中心に、Skunk と NL#5 の樹脂感が下支えします。

香りの層構造

  • トップ: レモンピール、スパイス、微かな松脂(テルピノレン主体)
  • ミドル: ハーブ、パイン、ほのかなスカンク香(Skunk #1 の寄与)
  • ボトム: 樹脂、ウッディ、軽い甘み(NL#5 の寄与)

吸入時のフレーバー変化

吸入すると、まずレモンハーブのシャープな刺激が立ち上がり、
その後に白胡椒のスパイスと松脂の甘味が追いかける三段階の変化が体験できます。

呼気終盤ではウッディでドライな余韻が残り、古典ヘイズ特有の「軽い煙感」が感じられるのも特徴です。

近年の Zkittlez 系・Runtz 系の“キャンディ香”とは正反対の系統であり、SSH は「古典ヘイズの真価を現代でも再現できる稀少株」として評価されています。

効果と体験(Effects & User Experience)

Super Silver Haze(SSH)は、典型的なサティバ系の
覚醒・集中・軽い多幸感 を中心に構成された体感を示します。

  • 精神的効果: クリアな思考、集中力の向上、創造的発想の活性化
  • 身体的効果: 軽いボディリラックス(NL#5の寄与)、緊張の緩和
  • ムード効果: 欲望的ではなく“爽快”な高揚感が持続

ヘイズ特有の“鋭い覚醒感”がありつつ、ノイズ的な不安や焦燥が出にくい点が
SSH がクラシックとして評価され続ける理由の一つです。

SSH の特徴的な「覚醒感と多幸感」は、単なる高THCではなく、テルピノレンやリモネンなどの覚醒系モノテルペンが中枢神経の報酬系を調節する作用が関与していると考えられる。この相互作用が、強い高揚とクリアな集中を同時に成立させる。


医療領域での応用(Medical Applications)

SSH は Type I(高THC)でありながらも“混乱しにくい覚醒”を持つため、
医療用途では以下が注目されています。

  • 気分障害: 軽度の抑うつ・倦怠の改善
  • 集中力低下: 注意力の向上
  • 慢性疲労: 活力のブースト
  • 食欲刺激: 軽度の食欲増進効果

重度症状向けではないものの、日中活動の補助としてバランス良く作用します。


栽培特性(Cultivation Characteristics)

SSH はヘイズ系の中では比較的安定し管理しやすい株ですが、依然として
伸びやすい・光反応が強い・湿度に弱い という特徴を持ちます。

  • 栽培難易度: 中〜上級者向け
  • 開花期間: 10〜11週(Haze 系としてはやや短い)
  • 収量: 屋内 500〜650g/m²/屋外 最大 800g/株
  • 最適環境: 温度 22〜26℃、湿度 45〜55%

光量に強く反応する形質を持ち、強光環境では
テルピノレン含有量が高まり香りがシャープになる 傾向があります。

一方で湿度が高いと灰色カビ(Botrytis)のリスクが上がるため、
ヘイズ系としては珍しく低湿度管理が求められます。


文化的背景と評価(Cultural Impact)

Super Silver Haze は 1990年代後半〜2000年代前半の“サティバ黄金期” を代表する株であり、

High Times Cannabis Cup において、1997(Hydro部門)・1998(総合部門)・1999(総合部門)で 3 連覇を達成しており、公式アーカイブでも確認されている。これは商業サティバとして当時もっとも高い評価を受けた品種のひとつである。

と三連覇したことで、世界的な認知を獲得しました。

この三連覇は「ヘイズ × スカンク × ノーザンライツを統合した完成形」と評価され、
SSH を中心とする遺伝子ライン(Amnesia・Super Lemon Haze など)が
2020年代現在まで続くクラシック・サティバ文化を形成しました。

現代の “甘いハイブリッド全盛期” においても、SSH はその軽快な覚醒感と
複雑な柑橘スパイス香により、依然として研究者・ブリーダー・古典派ユーザーから
高い評価を受けています。

🧬考察ノート|Super Silver Haze におけるヘイズ遺伝学の完成点

Super Silver Haze(SSH)は “ヘイズ三部作(Haze × Skunk × NL#5)” の中で最もバランスに優れ、遺伝的にも文化的にも「ヘイズ系の設計思想が完成した地点」とされる株である。単なるクラシックではなく、現代のヘイズ遺伝学を理解するうえで避けて通れない基準点である。

1. Haze 遺伝子の構造と「覚醒感」の根源

オリジナル Haze(Santa Cruz Haze)はタイ・メキシカン・コロンビアンなど複数の純サティバを重ねた極めて複雑なランドレース混合で、遺伝座のヘテロ性が非常に高い。この多型が、テルピノレン優勢 × 高THC × 独特の神経覚醒 を生む。

SSH はこの “Hazeの粗削りな覚醒感” に、Skunk の柑橘香と NL#5 の鎮静・安定性を加えることで、暴れるヘイズの性質を制御し、実用的な覚醒ハイブリッドへと昇華させた。

特に特筆すべきは、テルピノレン(Hazeの核)とリモネン(Skunkの核)の二峰型香気構造 が、現代でも珍しい高い協調性を示している点である。

2. 遺伝安定化の観点:SSH は “非IBL型の実用安定”

SSH は IBL(ホモ接合化ライン)ではない。むしろ Haze のヘテロ性を残したまま、NL#5 と Skunk の遺伝子座で “暴れすぎる部分だけを抑えている” という構造を持つ。

そのため、完全固定ではないにもかかわらず、以下の3形質は極めて再現性が高い:

  • ① 柑橘スパイスの香気構造
  • ② 鋭い覚醒 × 低不安の体感
  • ③ 10〜11週で収まる短縮ヘイズ花期

これは “Haze の良さを殺さず、扱える形に落とし込む” というブリーディング哲学の成功例である。

3. ケモタイプ解析:THCAS優勢とテルピノレン前提の設計

SSH のケモタイプは典型的な Type I(高THC/低CBD)
THCAS の転写活性が高く、CBDAS はほぼ沈黙している。
しかし注目すべきは「高THCなのに刺々しさが出ない」点にある。

これは:

  • リモネン … メンタルの軽快さ
  • β-カリオフィレン … 神経抑制の補正
  • テルピノレン … 鋭い覚醒の核

これらの “三点均衡” によって成立している。
特にテルピノレンの安定高発現(Haze直系の特徴)は、
後の Amnesia Haze / Super Lemon Haze / Moby Dick の基礎を作った。

4. SSH がヘイズ史に残した文化的インパクト

SSH が特別なのは “優勝回数が多いから” ではない。

● Haze を世界基準にした最初の株
● 室内栽培に適応した最初のヘイズ
● 近代サティバ文化の始点

この3点こそが SSH の文化的価値である。
もし SSH が存在しなかったら、今日の「甘いサティバ」「柑橘スパイス系」「日中向けハイブリッド文化」は成立していなかったとまで言われる。

5. 現代ブリーディングにおけるSSHの遺伝的影響

SSH の遺伝は 2020年代の多くのヘイズ派生株に受け継がれている:

  • Super Lemon Haze(SSH × Lemon Skunk)
  • Amnesia Haze(SSH表現型 × Thai系)
  • Moby Dick(SSH × White Widow)
  • Neville’s Haze(SSHの延長系統)

つまり SSH は単なる1ストレインではなく、
“現代サティバ系の設計図(blueprint)” として機能している。

【総括】

  • SSH は “ヘイズ × スカンク × NL#5” の三点均衡で覚醒・香気を完成させた株
  • IBL化していないが、Hazeの暴れを抑えた高再現性の遺伝構造を持つ
  • テルピノレン × リモネン × β-カリオフィレンの多点協調が体感を支える
  • 現代サティバ文化の基準点であり、後続の Amnesia / SLH への橋渡しとなった
  • 研究上も文化上も、2020年代以降も引用価値を失わない永続株
  • 日本国内での注意喚起

    本記事は、カンナビス(大麻)に関する品種学的・遺伝学的研究、文化史的資料として作成されたものであり、いかなる形であっても大麻の所持・使用・栽培・譲渡を助長する意図はありません。

    日本国内では、大麻取締法により大麻の所持・譲渡・栽培・使用は厳しく禁止されています。これらの行為を行った場合、刑事罰の対象となり、重大な法的責任を負うことになります。日本において大麻に接触することは絶対に行わないでください。

    また、海外における合法的市場であっても、製品の成分濃度・摂取方法・個人差により健康リスク(依存・認知機能の低下・精神的不安定など)が存在します。海外での利用の際であっても、必ず現地法・医療ガイドラインを確認し、安全性を最優先してください。

    本サイト「Cannabis Strain Wisdom」は、教育・学術・文化研究を目的とした情報提供であり、法令遵守と研究的理解の両立を強く推奨します。

本考察は公開系統記録(Mr.Nice Seedbank / Green House Seeds)、LeafWorks2024)、Cannabinoid Genomics ArchiveCGA 2025)を参照し、202511月時点の科学的知見に基づき再構成した。

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