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Cinderella 99(シンデレラ99)|選抜で再現された“短花期サティバ”の研究稿

cannabis Strain
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Cinderella 99(C99)は、Brothers Grimm Seeds(Mr. Soul)が育成した代表的なサティバ優勢ハイブリッド。

短い開花期、強い果実香、そして一貫した覚醒的作用を両立させることを目的に設計され、現代育種史の中でも特に注目される存在です。


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概要(イントロダクション)

Cinderella 99(通称 C99)は 1990年代後半、Brothers Grimm による選抜と反復バッククロス(“cubing”)を経て誕生しました。

目的は「伝統的サティバの高揚感を維持しつつ屋内栽培向けに短花期へと短縮する」こと。

この設計思想が今も多くのブリーダーに影響を与えています。

要点:短花期・高揚感・果実香の三要素を並列的に選抜して固定化した点がC99の最大の特徴です。


遺伝背景(Genetic Lineage)

起源とブリーダー

正式ブリーダーは Brothers Grimm Seeds(Mr. Soul)起点となるのは“Princess”と呼ばれる雌株で、Jack Herer 系統から派生した表現型とされています。

Mr. Soul は Princess を母体に複数世代の戻し交配(cubing)を行い、Cinderella 系統を確立しました。

Cubing(反復バッククロス)の概念と実施

“Cubing” は、優良母株(ここでは Princess)へ戻し交配を繰り返す手法で、目的形質を母系に高確率で定着させるために用いられます。

Brothers Grimm の記録では、P.50 → P.75 → P.88 → P.94(最終的に Cinderella 99)という世代表記が示されています。


成分構成とケミカルプロファイル

カンナビノイド概要

  • THC: 約20〜25%。ロットや環境条件で変動
  • CBD: 1%未満(典型的なケモタイプⅠ)
  • CBG: 0.3〜1%前後

主要テルペンと香気特性

分析報告によれば、C99は テルピノレン、リモネン、ミルセン、β-カリオフィレンを主に含有します。

特にテルピノレンが果実香の主要因であり、リモネンが柑橘系の明るさ、ミルセンが深みを補強し、カリオフィレンがスパイス感を付加します。

これらの組成はエントラージュ効果を生み、C99特有の“鋭い覚醒と穏やかな安定”を形成していると考えられます。


効果・フレーバー(体験プロファイル)

作用の流れ

  1. 導入(0〜5分):頭部中心のクリアな覚醒感。
  2. 中盤(5〜25分):会話や創作意欲の高まり、集中持続。
  3. 後期(30分〜):軽い筋弛緩と落ち着き。眠気よりも静的安定感。

香りと味わい

熟したパイナップルやトロピカルフルーツの甘さに、シトラスの酸味とスパイスが混じる。燃焼後も香気が安定して残るのが特徴です。


栽培特性と遺伝安定性(IBL解析)

基本栽培条件

  • 温度: 生育期 22〜28°C / 開花期 20〜26°C
  • 湿度: 生育期 50〜70% / 開花期 40〜50%
  • 光周期: 18/6 → 12/12
  • pH: 土壌 6.0〜6.5 推奨

遺伝固定化(IBL化)の評価

Brothers Grimm の育種記録と独立したコミュニティ報告によれば、Cinderella 99 は複数世代の戻し交配により高い遺伝的安定性(near-IBL)を達成しています。

理論上、3回以上の戻し交配でホモ接合化率は約80〜90%に達するとされます。

表現型の分離と選抜

フェノタイプは完全固定ではなく、香気や草勢に微差が見られます。

代表的には“パイナップル寄り”と“グレープ寄り”の二系統。

これらの差異はテルペン合成遺伝子の多型や環境応答に起因します。

安定株を得るには初期段階でクローン固定を行うのが最適です。


考察ノート|Cinderella 99 における遺伝的固定化と選抜戦略

Cinderella 99 は、商業的な短花期サティバの中でも、きわめて高い遺伝安定性を実現した希少な事例である。

Brothers Grimm による“cubing”手法は、当時としては実験的でありながら、IBL(Inbred Line)概念に近い安定構造を達成していた点が特筆される。

1. 遺伝的安定化(IBL)とホモ接合化率の理論的背景

IBL(Inbred Line)とは、連続した世代交配によって遺伝子座の大部分がホモ接合化し、表現型の一貫性が高まった系統を指す。

理論的には、自己受粉または戻し交配を3〜5世代行うと、ホモ接合化率は80〜95%に達する。

Cinderella 99 における cubing では、母株“Princess”を基軸に戻し交配を繰り返すことで、母系遺伝子を高密度に保持したまま短花期と樹勢を安定化させた。

これにより、通常のF1交配では得られにくい再現性を実現している。

2. 表現型分離(Phenotypic Segregation)の観察

C99はIBLに近いとされるが、完全な固定には至っていない。

特に香気(テルピノレン比率)と花の密度には明確な二分傾向がある。

これらは、単一遺伝子座ではなく多遺伝子的制御を受けるため、環境条件(光強度・温度・培地pH)により変動しやすい。

しかしながら、視覚的形質(節間長・葉の切れ込み・樹形)は高い一貫性を示す。

これは主要遺伝子群がすでに安定化しており、環境応答に対する表現型の振れ幅が狭いことを意味する。

3. セレクション手法と再現性

Mr. Soul は当初、100粒以上の種子から育成を行い、果実香と短花期を併せ持つ個体のみを選抜したとされる。

このセレクションの方向性は、今日の“trait stacking(特性積層)”の先駆けであり、目的形質の重ね合わせを早期に実践していた点で評価される。

また、C99 の再現的交配では「cubing」の理論的再現よりも、選抜基準の精密化(例:テルペン比率・ノード間隔・花粉生着力の観察)が鍵となる。

 現代の育種環境では、分子マーカー選抜(MAS)がこの段階を効率化しうる。

4. 遺伝的再評価と今後の研究方向

近年のゲノム解析では、Jack Herer 系統に共通するシーケンスモチーフが C99 にも確認されており、Princess 由来の高THCA発現座が保持されていることが示唆されている。

この結果、THCA合成酵素(THCAS)の転写活性が強く、CBDASの発現はほぼ抑制状態にある。

この構造は「THC優勢+低CBD」というケモタイプⅠ典型例を示すものであり、C99がブリーディング教材として優秀な理由でもある。

特に、テルピノレンとリモネンの共発現は珍しく、この点は遺伝的多型解析の題材としても価値が高い。

5. 研究的意義と遺伝子資源としての価値

Cinderella 99 は、サティバ的精神活性を温室・屋内環境でも再現可能にした初期の成功例であり、現在の多くのF1ハイブリッド(例:Pineapple、Glass Slipper、Apollo系)に遺伝的寄与を与えている。

IBLとしての安定性・再現性・選抜理論の明確化、これら三点すべてを兼ね備えた稀少株である。

したがって、C99 は単なる古典品種ではなく、遺伝学的教材・研究対象として今後も引用価値を持ち続けると考えられる。


【まとめ】

  • ・C99 は cubing により母系形質を高精度に保持した near-IBL。
  • ・主要形質(短花期・果実香・樹勢)はほぼ固定、香気には残存多型あり。
  • ・分子遺伝学的にも THC 優勢型ケモタイプとして明確な特徴を持つ。
  • ・選抜プロセスと表現型安定性は、現代ブリーディング理論の礎の一つ。

本考察は公開研究資料(Brothers Grimm 育種記録、SeedFinderLeafly分析、PubMed遺伝子解析論文など)を総合的に参照し、20251110日時点での科学的知見に基づき再構成したものです。


出典・参考文献

  • Brothers Grimm Seeds 公式サイト — Cinderella 99 strain history
  • SeedFinder.eu — Genetic lineage and breeding notes
  • High Times / Leafly / Analytical360 — Cannabinoid & Terpene data
  • PubMed Review — “Terpinolene and Limonene distribution in Cannabis sativa L.”
  • ICMag / Overgrow archives — Mr. Soul original posts

本文は上記の公開データ・ブリーダー報告・レビュー文献に基づいて20251110日時点で整理しています。研究進展に応じて更新予定です。


最後に

Cinderella 99 は、近代カンナビス遺伝学における “安定化の成功例” のひとつといえる。
Brothers Grimm による戻し交配(cubing)を軸とした育種手法は、単なるF1個体の固定ではなく、F2〜F3の段階で発現型のばらつきを丁寧に淘汰していく過程で完成されたものだ。
これにより、同一クローン間でも再現性の高い表現型が得られる。

特筆すべきは、遺伝安定化(IBL)の高さである。
Chemdawg や OG Kush のようなポリハイブリッド系とは異なり、Cinderella 99 は非常に限られた遺伝子座構成を持つ。
THCAS 優勢型であり、CBDAS はほぼ不活性。
このため、THC 含有量の振れ幅が少なく、25〜28%前後で安定していることが、近年の民間ラボ分析でも確認されている。

また、表現型分離に関しては、初期F1では「フルーティ系」「ハーバル系」の2群が見られたが、
F3段階以降ではβ-ミルセンとリモネン比の安定化が進み、現在一般流通しているC99では、
明るく軽やかなパイナップル様香気を持つ個体が主流となった。
これは育種時にリモネン高発現個体を継代的に選抜した結果と考えられる。

このように Cinderella 99 は、F系統(Filial generations)におけるセレクション精度の高さと、
IBL 理論を実践的に証明した極めて希少な事例である。
その存在は「クローンから種へ」という90年代以降のブリーディング思想の転換点を象徴しており、
現代のハイブリッド育種にも大きな影響を与え続けている。

― Cannabis Strain Wisdom


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本記事は、海外で合法的に栽培・研究されているカンナビス(Cannabis)品種に関する科学的・遺伝学的知見を紹介する目的で作成されています。

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