はじめに
Permanent Marker は、Seed Junky Genetics × Doja Exclusive によって生み出された、現代を象徴する“第四世代ハイブリッド（4th Gen Hybrid）”の代表株である。
正式遺伝は Biscotti × (Sherb BX × Jealousy) と明言されており、この構成は Cookies 系・Jealousy 系・Sherb 系の「三大現代ライン」が交差する極めて稀少な遺伝体系となっている。
2022 年の登場以降、Permanent Marker はその圧倒的な香気密度（Terp Intensity）・高再現フェノタイプ・豊潤な甘ガス香により一躍注目を集め、2023 年には Leafly が「Strain of the Year」に選出したことで世界的認知が爆発的に広まった。
特に注目すべきは、“甘香（Gelato/Biscotti）× ガス（Jealousy）× フローラル（Sherb BX）” が均質に統合された“多層フレーバー構造（Layered Flavor Architecture）”であり、現代ハイブリッドの完成点のひとつとして位置づけられている。
本記事では Permanent Marker を、遺伝学・化学プロファイル・香気構造・文化的影響・設計思想という五領域から、2025年時点の最新公開情報をもとに研究者視点で精密に解析する。
基本情報（Complete Profile）
- 品種名： Permanent Marker
- タイプ： ハイブリッド（Indica 約 60%）
- 交配：
Biscotti × (Sherb BX × Jealousy)
※Seed Junky Genetics による公式遺伝 - THC： 26〜32%（平均 28〜30%）
- CBD： <1%
- CBG： 0.4〜0.9%
- 主要テルペン：
β-カリオフィレン、リモネン、リナロール、フムレン、オシメン - フレーバー：
甘ガス（Sweet Gas）、ベリークリーム、スパイス、フローラル、グレープキャンディ - 効果：
多幸・陶酔・静的集中・深いボディリラックス（甘香×ガス系の二相性） - 栽培難易度： 中〜上級者向け
- 開花期間： 8〜9週（屋内）
- 収量： 450〜600g/m²（表現型の安定率が比較的高い）
- 誕生： 2022（Seed Junky × Doja Exclusive）
- 系統的位置づけ：
現代“第四世代ハイブリッド”の基準点（4th Gen Hybrid Core）
└ 甘香（Biscotti/Gelato）× ガス（Jealousy）× Sherb フローラルの三重統合モデル
遺伝構造（Genetic Structure）
Permanent Marker は、Seed Junky Genetics による
Biscotti × (Sherb BX × Jealousy) の三重構造を基盤とする
“第四世代ハイブリッド（4th Gen Hybrid）” であり、甘香・ガス・フローラルを
高密度で統合した最先端系統である。
遺伝親（Pedigree）
- Biscotti
└ クッキー系特有の「スウィートガス（甘ガス）」「濃厚バニラ」「スパイス」を付与。
└ β-カリオフィレンとリモネンの二軸構造が“重厚な甘さ”を作る。 - Sherb BX（Sherbert Backcross）
└ Sherb/Gelato のクリーム・フローラル・ベリー香の支柱。
└ リナロール高発現により香りが“滑らか”で高級感のある方向へ寄る。 - Jealousy（Gelato 41 × Sherb BX）
└ 近年の最重要エリート遺伝。“甘香 × ガス × グレープ”の三層構造。
└ 高THC・濃厚樹脂・陶酔の深さを支える。
Permanent Marker の遺伝的特徴
3つのエリート遺伝が重なることで、以下の性質が安定的に現れる：
- ① 甘香（Biscotti）× ガス（Jealousy）× フローラル（Sherb）の三重構造
- ② THCA 合成酵素（THCAS）の高転写 → 高THC安定ライン
- ③ “甘いのに刺さらない” 滑らかな陶酔（リナロール補正）
- ④ 現代Gelato系で最重要の TPSb/TPSg（β-カリオフィレン・オシメン）を高発現
特に オシメン（Ocimene） の安定発現は Permanent Marker を象徴する特徴で、
ベリー香・クリーミー甘さ・グレープの“湿った甘香”を形成し、Zkittlez系やRuntzとも異なる高級感を与える。
遺伝学的モデルとしての位置づけ
Permanent Marker = Biscotti（甘重） × Sherb（フローラル） × Jealousy（甘ガス）
この三系統統合モデルは、2022〜2025の「第四世代ハイブリッド」の基準形とされ、
RS11（Z × Pink Guava × OZK）と並び、現代ハイブリッド設計の中心軸として扱われている。
化学的プロファイル（Cannabinoid & Terpene Profile）
Permanent Marker は、2020年代前半における “ハイテルペン × 高THC” ハイブリッドの代表株として知られ、香気密度と風味再現性が極めて高い 稀有なケモタイプを示す。
- THC： 26〜32%（平均 28〜30%）
- CBD： <1%
- CBG： 0.4〜1.0%
- タイプ： Type I（高THC）
- テルペン総量： 2.5〜4.0%（同世代でもトップクラス）
主要テルペン構成（2023–2025 公開分析の共通傾向）
- リモネン（Limonene）：柑橘、明度、高揚感を付与し “トップの抜け感” を形成
- β-カリオフィレン（β-Caryophyllene）：スパイス／樹脂感、ボディ沈静を形成
- ミルセン（Myrcene）：甘香の丸み、フルーツ層の厚み
- リナロール（Linalool）：フローラル、クリーム感の滑らかさ
- オシメン（Ocimene）：揮発性フルーツ、トップの甘酸香を補強
化学的特徴と香気挙動
Permanent Marker の香気は、「ベリー × スカンク × ラベンダー × ガス」 という多層構造で、特にトップからボトムへの立ち上がりが滑らかな “段階遷移型フレーバー” が特徴的である。
- トップ： ベリー、シトラス、甘酸香（リモネン × オシメン）
- ミドル： ラベンダー、クリーム、軽いハーブ（リナロール）
- ボトム： スカンク、ガス、樹脂（β-カリオフィレン）
テルペン濃度が高いため、吸入時は「甘香 → ベリー酸味 → ガス／スカンク」へと明確に移行し、甘系とガス系が一体化する “モダンスイート&ガス” の典型スタイルを示す。
体感との関連
テルペン構造と高THCにより、最初は多幸・創造的覚醒、後半は深い沈静を示す二相性が多く報告される。
特にリモネン × β-カリオフィレンの二軸構造は、2020年代モダンハイブリッドの典型組成と一致する。
香りとフレーバー（Aroma & Flavor）
Permanent Marker の香りは、2020年代モダンハイブリッドの象徴ともいえる
「フルーツ甘香 × ラベンダー × スカンク × ガス」 が多層的に重なる独特の構造を持つ。
Doja Pak や DEO Farms 系の“Sweet Gas”ラインを代表する香気で、甘さ・酸味・樹脂の移り変わりが非常に滑らかである。
香気の層構造（Multi-Layer Aroma）
- トップノート： ベリー、チェリー、シトラスの甘酸香
─ リモネン × オシメンによる「明るい酸味」が最初に立ち上がる。 - ミドルノート： ラベンダー、フローラル、クリーム
─ リナロールが中心となり、甘香とハーブの境界を滑らかに繋ぐ。 - ボトムノート： スカンク、ガス、湿った樹脂
─ β-カリオフィレン主体の“重いOG的バックボーン”。
吸入すると「キャンディ様の甘酸香 → フローラル → スカンク／ガス」へと段階的に変化し、
特に“トップの華やかさ”と“ボトムの重み”が同時に立ち上がる点が、Permanent Marker 固有の魅力となっている。
風味の特徴（Flavor Dynamics）
- 甘いベリーキャンディ（甘香の輪郭がはっきりしている）
- ラベンダークリーム（滑らかで甘く丸い中盤）
- ガス／スカンクの鋭いフィニッシュ（呼気で強く出る）
特にフィニッシュのスカンク／ガス層は “OG × Zkittlez 的” と形容されることが多く、
甘系ハイブリッドにありがちな“甘さ一辺倒”ではなく、深みのある締まりを作り出している。
香気安定性（Stability）
Permanent Marker はテルペン総量が高く（2.5〜4.0%）、乾燥・キュア後も香気の崩れが少ないとされる。
特にオシメンとリナロールの同時発現により、高温加熱・長時間の保存でも甘香が飛びにくいという特徴がある。
文化的背景と評価（Cultural Impact）
Permanent Marker は、2022 年に Doja Pak × DEO Farms によってデビューして以降、
アメリカ西海岸を中心に “2020年代を代表する甘香 × ガス系ハイブリッド” として一気に評価を獲得した。
特に LA・NY・EU での限定 Drop（エクスクルーシブ販売）により、文化的象徴性が強い系統の一つとなった。
1. Z 世代ハイブリッドの象徴
Permanent Marker は、Gelato・Zkittlez を源流とする「現代キャンディ系」の流れにありながら、
甘香の華やかさ × 重いスカンク × ガス を同時に成立させた点で特異性がある。
“軽い甘香”ではなく“濃厚な甘さと重厚ガスの二面性”を楽しむ新世代モデルとして人気が急上昇した。
2. ハイブリッド設計の転換点
Permanent Marker の香気構造は、Zkittlez 系の甘酸フルーツと OG・Diesel のガス感を
同一フレームで高次に融合させており、研究者や育種家からは「2020年代型 Sweet Gas の完成形」と評価されている。
- Zkittlez：トップの果実甘酸香
- Larry OG / Biscotti 系：ボトムのガス・スカンク構造
- リナロール系：ラベンダー・フローラルの中間層
この三層構造は、2023〜2025 年のモダンハイブリッド（RS 系、Blue Zushi、Zoap など）の
共通設計思想にもつながり、Permanent Marker はその基準点として扱われている。
3. 海外カンナビスアワードでの評価
2022〜2023 年にかけて、Permanent Marker は多数のアワードで表彰され、
特に「LA High Times」「Zalympix」「Emerald Cup」関連レビューで高く評価されている。
これにより、Doja Pak 系のブランド価値を大きく押し上げた。
4. 市場とコミュニティでの位置づけ
消費者からは“甘いのに重い”“香りが濃厚で残る”という評価が多く、
これは名前の “Permanent（残る）” と一致する体験特性も話題となった。
そのため、SNS・フォーラム・レビューサイトでは 2020年代の「甘香×ガス系の代表株」として頻繁に言及されている。
5. 遺伝的影響
Permanent Marker は登場から数年で多数の派生系・交配株を生み、
2024–2025 年の育種コミュニティでは “Sweet Gas の親株” として重要度が増している。
特に DEO Farms 系のラインでは、Sweet Gas / Floral Gas の方向性を決定づけた基盤株のひとつとして扱われる。
考察ノート｜Permanent Marker における第四世代ハイブリッド設計の核
Permanent Marker は、RS11 や Jealousy と並んで「第四世代ハイブリッド」の核に位置づけられる株である。Biscotti × (Sherb BX × Jealousy) という系譜は、単に“人気株同士を掛け合わせた”ものではなく、Cookies〜Sherb〜Jealousy ラインの設計思想を 1 本に集約した構造として見るべきだ。
1. Biscotti × Sherb × Jealousy の三点統合
Biscotti は Cookies ファミリーの中でも「甘重（スウィート × 重さ）」を象徴する株であり、β-カリオフィレンとリモネンの二軸バランスが特徴的だ。一方、Sherb BX はラベンダー〜フローラルを司るリナロールを濃く受け継ぐ系統で、甘さの“質感”を決定づける役割を持つ。
これに Jealousy（Gelato 41 × Sherb BX）由来のスカンク／ガス構造と高THC性が加わることで、
- 甘さ（Biscotti/Gelato）
- フローラル（Sherb BX）
- ガス／スカンク（Jealousy）
という三要素が互いに打ち消し合わず、むしろ「層」として積み上がる設計になっている。
ここで重要なのは、どの要素も突出しすぎず、ニュアンスとして共存している点で、これは TPS ファミリー（テルペン合成酵素群）の発現レベルをかなり意識してブリーディングされている可能性が高い。
2. 「Sweet Gas」設計の完成形としての Permanent Marker
2020年代前半のブリーディングトレンドの一つに、“甘い × ガス系” を同一フレームで成立させる試みがある。
Runtz・RS11・Blue Zushi などがその代表だが、Permanent Marker はその中でも
「甘さ・フローラル・スカンク・ガス」の四極構造を最もバランスよくまとめた系統の一つといえる。
香りの立ち上がりは Zkittlez / Gelato 系に近く、フィニッシュは OG / Skunk 系に近い。
この「トップは Z 世代的、ボトムはクラシック」という二層構造は、Jealousy ラインで部分的に見られたが、Permanent Marker ではさらにラベンダー的フローラル（リナロール）が橋渡しの役割を担うことで、香り全体の連続性が高められている。
3. 高THC × ハイテルペン構造の意味
Permanent Marker の特徴の一つは、THC 26〜32% クラスでありながら、テルペン総量 2.5〜4.0% という“ハイテルペン株”である点だ。
THC が高い株は、しばしば香りが尖りすぎたり、体感が刺々しくなりがちだが、Permanent Marker はむしろ「陶酔は強いのに丸い」というフィードバックが多い。
これは、以下のような構造が関与していると考えられる：
- リモネン：心理的明度・多幸感を引き上げる。
- β-カリオフィレン：ボディ側の落ち着き・重さを補正する。
- リナロール：フローラルによる“角の取れた甘さ”を付与。
- オシメン：トップのフルーティさを増幅し、初期の印象を明るくする。
その結果、「強いのに攻撃的でない」「濃いのにくどくない」という、ハイポテンシー系としては珍しいバランスが成立している。
これは 2010年代の Gorilla Glue / MAC / GMO など“高効能 × 重ガス”系とは明確に異なる設計思想であり、Permanent Marker を “ポストRuntz／ポストJealousy 期の指標株” として評価する理由にもなる。
4. フェノ安定性と「第四世代ハイブリッド」の条件
Permanent Marker はクローン流通が前提のエリート株でありながら、フェミナイズ種子や派生ラインでも香気の再現率が高いと報告されている。
これは、Jealousy・Biscotti・Sherb BX という時点である程度遺伝的に整えられたライン同士を掛け合わせているため、F1〜F2 レベルでも大きく崩れにくい設計になっていると推測される。
いわば RS11 が「Zkittlez 二重継承型 Sweet Gas の完成形」だとすれば、
Permanent Marker はJealousy 系を軸にした Sweet Gas × Floral Gas の完成形であり、
両者は別ラインでありながら、2020年代ハイブリッド設計の両極をなしていると言ってよい。
5. 研究・ブリーディング上の意義
Permanent Marker は、今後のブリーディングにおいて以下の点で「教材」としての価値を持つ：
- ● 甘香・フローラル・ガスを同時に保ちつつ、香りが破綻しない構成例
- ● 高THC × ハイテルペンでも体感が刺々しくならないバランス設計
- ● Jealousy 系統を軸にした “第四世代 Sweet Gas” の構造モデル
Zkittlez / Gelato / Runtz といった“第三世代”が「キャンディ香の爆発期」だとすれば、
Permanent Marker はそれ以降の「香り × 体感 × 設計思想」を統合した時代の象徴株のひとつと捉えられる。
【総括】
- Permanent Marker は Biscotti × Sherb BX × Jealousy の三点を高次統合した “第四世代 Sweet Gas ハイブリッド”。
- 甘香・フローラル・スカンク・ガスの四極構造を 1 本にまとめた稀有な系統である。
- THC 26〜32％ × テルペン 2.5〜4％ クラスの高密度プロファイルにも関わらず、体感は丸くバランスが良い。
- Jealousy／RS11 と並び、2020年代以降のハイブリッド設計を理解するうえで避けて通れない基準株である。
日本国内での注意喚起
本記事は、カンナビス（大麻）品種に関する遺伝学的・化学的・文化的な情報提供を目的としており、
いかなる形でも大麻の所持・使用・栽培・譲渡を推奨・助長するものではありません。
日本国内では、大麻取締法により、大麻（花・葉・樹脂・若い茎など）の所持・譲り渡し・譲り受け・栽培・使用は
原則として禁止されており、違反した場合は刑事罰の対象となります。
絶対に行わないでください。
また、海外には大麻が合法または非犯罪化されている地域がありますが、
各国・各州ごとに法規制・年齢制限・医療制度は大きく異なります。
たとえ現地で合法であっても、日本国内へ持ち込むこと・日本の法律に反する行為は厳しく処罰されます。
大麻の使用は、依存形成、認知機能への影響、不安・気分変調などのリスクを伴う可能性があり、
医療的な利用を含め、判断が必要な場合は必ず医師など専門家に相談してください。
本サイト「Cannabis Strain Wisdom」は、
カンナビスに関する科学的リテラシー・品種理解・文化的背景の共有を目的としており、
法令遵守と安全な情報の扱いを強く推奨します。