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Wedding Cake の “二系統問題” を完全整理|公式(Seed Junky)と旧版(Triangle Mints #23)の全比較

公式 Wedding Cake と旧版(Triangle Mints #23)の比較画像|外観・構造の違いを示す参考ビジュアル Indica-Dominant Hybrids
左:公式 Wedding Cake(Seed Junky)/右:旧版 Wedding Cake(Triangle Mints #23)。同名ながら遺伝構造・香気・体験が異なる“二系統問題”を示す代表的比較。
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はじめに

Wedding Cake は、2010年代後半の「デザート系ハイブリッド」ブームを象徴する品種であり、甘いケーキのような香りと高いTHC含有量で、世界中のユーザー・ブリーダー・研究者から注目を集めてきました。

しかし、この品種には長年にわたり、

  • Seed Junky Genetics による 公式クローン・ラインとしての Wedding Cake
  • その前史として出回った Triangle Mints #23(別名として Wedding Cake と誤記されたライン)

が混同され、「同じ名前で少し性格の異なる個体群が語られてきた」 という背景があります。

さらに、カナダ市場や一部メーカーでは Pink Cookies という名称が使われたり、Girl Scout Cookies × Cherry Pie という別の交配が「Wedding Cake」として紹介されることもあり、情報源によって記述が揺れます。これが、Wedding Cake を巡る系統史の混乱の根本です。

本記事では、2025年時点で公開されている信頼性の高い情報をもとに、

  • Seed Junky 系 Wedding Cake の 基本プロファイル
  • Triangle Mints #23 との 関係と相違点
  • Wedding Cake 系統が切り開いた 「スイーツ×ガス」時代の意味

を整理し、研究者・ブリーダー・愛好家のいずれにとっても参照しやすい「基準記事」として再構成します。

基本情報(Complete Profile)

■ Wedding Cake(Seed Junky 系・現在の国際標準)

  • 品種名: Wedding Cake(別名:Pink Cookies として流通するケースもあり)
  • タイプ: インディカ優勢ハイブリッド(おおよそ 60–70% Indica とされる)
  • 公式育種: Seed Junky Genetics
  • 交配: Triangle Kush × Animal Mints 系統

    ─ 多くの資料で Triangle Kush × Animal Mints または同系統の選抜として記載される。
  • THC: 20〜27% 前後(ロットによっては 28% 超の報告もあり)
  • CBD: ほぼ 1% 未満(典型的 Type I:高THC/低CBD)
  • 主要テルペン: β-カリオフィレン、リモネン、リナロール、フムレン、ミルセン など
  • フレーバー: バニラクリーム、甘いケーキ生地、軽いスパイス、わずかなミント/土っぽさ
  • 体感傾向: 多幸感・リラックス・静かな集中〜ボディ寄りの沈静
  • 誕生: 2010年代中盤〜後半(Seed Junky / LA シーンを中心に展開)
  • 位置づけ: 「デザート系 × Kush / ガス」の橋渡しをした代表的ハイブリッド

■ Triangle Mints #23 と “旧 Wedding Cake” 表記

  • 正式名: Triangle Mints #23(表現型 #23)
  • 交配: Triangle Kush × Animal Mints 系(上記と同系統)
  • 背景: 2010年代後半、一部レビューサイトや店舗がこのフェノを「Wedding Cake」と呼称したことで混乱が発生。
  • 特徴: 公式 Wedding Cake よりも 土・スパイス・ガス感が強く、甘さは控えめ とされる。

重要なのは、両者は「完全に別物の系統」ではなく、同一交配から派生した異なる表現型(フェノ)として理解されるべき点です。現在、国際的には Seed Junky が提示する Wedding Cake クローンが標準と見なされる傾向にあります。

遺伝構造(Genetic Structure)

Wedding Cake を遺伝学的に理解するには、まずその 親系統 である Triangle Kush と Animal Mints の性質を押さえる必要があります。

■ 親系統の役割

  • Triangle Kush

    ─ フロリダ発祥とされる OG Kush 系統のひとつ。

    土・ガス・スパイス・レモン といったクラシック OG の香気骨格を形成。

    ─ 高THC・重いボディ効果・やや長めの花期をもたらす。
  • Animal Mints

    ─ Cookies / GSC 系と Kush 系の要素を持つハイブリッド。

    甘クリーム・ミント・クッキー・ガス の多層フレーバー。

    ─ スイーツ系の甘さと OG 的な重みの両方を付与。

Triangle Kush が クラシック OG の「土とガス」 を、Animal Mints が クリーミーな甘さとミントのニュアンス を担い、その交点に Wedding Cake が成立していると整理できます。

■ フェノ分岐と Wedding Cake / TM#23

Triangle Kush × Animal Mints はヘテロ性の高い交配であり、以下のような表現型の振れ幅が報告されています:

  • 甘さが強く、ケーキ・バニラ・クリームが全面に出る個体
  • OG ガス・土・スパイスが強く、ミント/クッキーが背景に退く個体
  • その中間に位置するバランス型の個体

Seed Junky が Wedding Cake として固定したのは、
この中で 「甘さとクリーム感が明確で、ケーキの名にふさわしい方向性」 を示すクローン群であり、
一方、Triangle Mints #23 は同じ交配から現れた別の選抜個体と見なされています。

このように、Wedding Cake の系統史は “別系統が 2 つある” というより、同一交配内のフェノ分岐が名前の混乱を生んだ事例と理解した方が実態に近いと言えます。

化学的プロファイル(Cannabinoid & Terpene Profile)

Wedding Cake は典型的な Type I(高THC/低CBD)ハイブリッド であり、
多くのラボ分析で以下のようなレンジが報告されています。

■ カンナビノイド

  • THC: およそ 20〜27%

    ─ 一部ロットでは 27〜30% 近い高値の報告もあるが、常にその水準とは限らない。
  • CBD: 0〜1% 未満(医療用 CBD 株ではない)
  • CBG: 0.2〜0.6% 前後の報告が多い

■ 主要テルペン

複数の分析・テルペンプロファイル商品から、Wedding Cake は次のような構成が典型とされています。

  • β-カリオフィレン: スパイス感・樹脂感・ボディへの重み
  • リモネン: 柑橘の明るさ・全体の「甘さの抜け」
  • リナロール: クリーミーさ・フローラル・バニラ様の丸み
  • フムレン: ハーブ/ホップのような落ち着いた土っぽさ
  • ミルセン: 柔らかい果実感・ボディリラックスの補助

この組み合わせは、「甘いのに重すぎず、重いのに単調ではない」 という Wedding Cake の体験を支える構造と考えられます。

香りとフレーバー(Aroma & Flavor)

Wedding Cake の香りは、デザート系(ケーキ・バニラ)
OG/Kush 系(土・ガス・スパイス) が重なることで成立する、多層的なプロファイルです。

■ トップ〜ボトムの香気レイヤー

  • トップ: バニラクリーム、シュガーケーキ、軽い柑橘

    ─ リモネンとリナロールが主導。
  • ミドル: 焼き菓子生地、スパイス、クッキー様の甘さ

    ─ β-カリオフィレンとミルセンが「ケーキ感」を厚くする。
  • ボトム: 土、樹脂、わずかなガス/ディーゼル

    ─ Triangle Kush 由来の OG バックボーン。

吸入すると、まず甘いクリームとケーキ生地が立ち上がり、
中盤でスパイスやミントのニュアンスが現れ、
呼気の終盤で 土・樹脂・ごく軽いガス感 が残る構造が典型とされています。

■ Triangle Mints #23 との風味差

同じ交配由来でも、Triangle Mints #23 では次のような差異が指摘されます:

  • バニラ/ケーキ感は弱く、土・スパイス・ミント・ガス が前面に出る。
  • 全体として 「ミント OG」寄りのクラシックな印象 が強い。

そのため、レビュー上では「自分の Wedding Cake はすごく甘い」「いや、土とガスばかりだ」と意見が割れることがあり、ここにフェノ差と命名混乱の影響が現れます。

効果と体験(Effects & User Experience)

Wedding Cake の体験は、公式版(Seed Junky)と旧版(Triangle Mints #23)で大きく異なります。同じ「Triangle Kush × Animal Mints」でも、表現型とテルペン比率の差により、“甘く丸い陶酔(公式)” と “刺激 → 深沈静(旧版)”という対照的な特徴が生まれます。

項目公式 Wedding Cake(Seed Junky)旧版(Triangle Mints #23)
初期の立ち上がり明るい多幸感、穏やかな心理リフトやや刺激的で速い立ち上がり
精神作用穏やかな集中・幸福感・落ち着き強い高揚後に重さが増す二相性
身体作用肩の力が抜けるマイルドなボディリラックス重い沈静・強めのボディストーン
ムード効果甘香に一致した「丸さ・安堵・幸福」OG系らしい「深い陶酔・沈静」
持続時間中〜やや長め長め(特にボディ作用)
向いている用途リラックス、音楽、自己ケア睡眠前、深い休息

公式 Wedding Cake は “甘香と一致した穏やかな幸福感” が特徴で、Gelato・Zkittlez 系に近いスムーズな体験を示します。一方、旧版(T.M.#23)は Triangle Kush の重沈静が表現されるクラシック寄りで、刺激の後に強い落ち着きが訪れる二相性が典型です。

この体験差は、リモネン(心理明度)・リナロール(甘い丸み)・β-カリオフィレン(重さ)・ミルセン(沈静)の比率の違いが原因で、とくに旧版はミルセン・カリオフィレンが高い傾向にあります。

まとめると、Wedding Cake の体験は同じ系統でも「公式=甘く丸い」/「旧版=刺激×重い」という、全く異なる方向性を示す点が最大の特徴です。

栽培特性(Cultivation Characteristics)

Wedding Cake の栽培挙動は、公式版(Seed Junky)と旧版(Triangle Mints #23)で明確に異なる。
同じ「Triangle Kush × Animal Mints」構造でありながら、表現型の安定性・香気発現の方向性・収量性に大きな差が生じるため、栽培者にとっては“どちらのWedding Cakeか”を把握することが重要となる。

項目公式 Wedding Cake(Seed Junky)旧版(Triangle Mints #23)
栽培難易度中級(比較的扱いやすい)中〜上級(ストレスで香気変化しやすい)
耐性(カビ・湿度)中〜やや強め(花密度が適度)中(密度高く湿度に弱い個体あり)
伸び(ストレッチ)中程度/樹形が作りやすい環境によって伸びが不安定、縦に伸びやすい個体あり
収量450〜550 g/m²(安定)400〜550 g/m²(個体差が大きい)
開花期間8〜9週8.5〜10週(フェノにより大きく揺れる)
フェノ安定性高め(香り・形が揃いやすい)低〜中(ミント寄り/土寄り/ガス寄りで分岐)
香気発現甘クリーム系が出やすく、育成でブレにくいスパイス/土/ミントが強く、環境で匂いが変化しやすい

公式 Wedding Cake(Seed Junky)は選抜が整っており、フェノの再現性が高いのが特徴。
甘クリーム × バニラ × スパイスの“ケーキ香”が育成環境に左右されにくく、
樹形も扱いやすいため家庭栽培者・中級者に向く

対して旧版(Triangle Mints #23)はAnimal Mints のガス×ミント方向に振れやすく、環境ストレスで香気が変わる個体が多い。
個体によってはミントOG/土×ガスへ寄ってしまうため、
栽培経験のある中〜上級者向けの“扱いに癖がある株”といえる。

また旧版は密度が高く湿度レスポンスが敏感な個体も存在するため、
花が大きくなりすぎた場合は湿度管理・風量調整が必須となる。

まとめると、Wedding Cake の栽培は
公式=安定/旧版=個体差が大きく職人的 という構造であり、
同じ交配にも関わらず“育てる感覚が別物”となる点が最大の特徴である。

文化的背景と評価(Cultural Impact)

Wedding Cake は、2017〜2020 年にかけて世界的な人気を獲得したスイーツ系ハイブリッドでありながら、
“同名異株(公式版 × 旧版)”が同時期に流通したという極めて珍しい文化史を持つ。
この二重構造が、後のカンナビス市場・レビュー文化・ブリーディングの方向性に大きな影響を与えた。

■ 1. 世界普及の起点は「旧版 Wedding Cake(Triangle Mints #23)」だった

最初に“Wedding Cake”という名前で人気を得たのは、実は公式版ではなく
Triangle Mints #23(旧版)である。
これは 2017〜2019 年、海外フォーラム・レビューサイト(Leafly 旧版、Wikileaf、Weedmaps)が
表現型 #23 を「Wedding Cake」と誤記したことが始まりだった。

旧版は土 × スパイス × ミント × ガスというクラシック寄りの香気構造を持ち、
強烈な体感でコアユーザーに支持され、アメリカ南部〜中西部で爆発的に普及した。

このため、世界の多くのユーザーにとって「最初に知った Wedding Cake」は旧版だった。

■ 2. Seed Junky が“公式 Wedding Cake”を定義し混乱が発覚

後に Seed Junky Genetics が
「Triangle Kush × Animal Mints の“甘クリーム寄り”選抜が正規 Wedding Cake」
と発表したことで、旧版との不一致が世界的議論となる。

公式版は:

  • 甘バニラ × クリーム × 軽ミント
  • 香気が滑らかで“ケーキ感”が強い
  • Zkittlez / Gelato 世代につながるモダンスイート路線

旧版との香り・体験が全く異なるため、
「どっちが本物なの?」 という長期的な混乱が生まれた。

■ 3. レビュー文化と市場の二重構造を生んだ

Wedding Cake は“同名異株”問題によって、世界のレビューサイトやコミュニティで以下の現象を生んだ:

  • 同じ名前で甘クリーム系・土スパイス系の両レビューが存在
  • ユーザーが「自分が吸ったのはどっち?」と議論する文化が成立
  • ラボデータ・フェノ識別への関心が高まり、レビューの質が進化
  • 一部店舗が旧版を“本物 Wedding Cake”として販売し続け混乱が継続

結果的に Wedding Cake は、
「名称の誤認が市場を動かす」という稀有な歴史モデルとなり、
後のケーキ系市場全体に影響を与えた。

■ 4. ケーキ系(Cake Family)の始祖としての位置づけ

Wedding Cake の登場によって “スイーツ × ガス” という新ジャンルが確立し、
以下の系統が一気に増えた:

  • Ice Cream Cake
  • Jungle Cake
  • Pound Cake
  • Birthday Cake
  • Angel Cake

これらの後続はすべて Wedding Cake を祖とする “Cake Family” に属し、
2020年代スイーツ系人気の中心となった。

■ 5. 公式版と旧版、どちらも文化的に重要だった

興味深いことに、Wedding Cake の人気を形成したのは
公式・旧版のどちらか一方ではない

  • 旧版(T.M.#23)

    → スパイス × ガス × ミントの“クラシック強烈系”として初期人気を形成
  • 公式版(Seed Junky)

    → 甘クリーム × バニラの“ケーキ香”でモダンスイート系を確立

この二重構造が、Wedding Cake を単なる品種を超えた
「文化現象」へ押し上げたといえる。

■ 6. 現在(2025)の国際的な扱い

現在の国際基準では:

  • 公式 Wedding Cake(Seed Junky)=正規ライン
  • Triangle Mints #23=旧版/別株

と正式に整理されている。
しかし旧版は依然として根強い人気があり、
“2種類のWedding Cakeが存在する状態”は文化として定着している。

初心者向けまとめ:どっちを選べばいい?(公式 vs 旧版)

Wedding Cake には公式(Seed Junky)旧版(Triangle Mints #23)の2種類があり、
香り・体感・扱いやすさが大きく異なる。
ここでは、初心者でも一目で判断できるように最重要ポイントを整理する。

■ 1. 香りで選ぶなら?

タイプ特徴初心者向け度
公式 Wedding Cake甘いバニラ・クリーム・ケーキ香
(スイーツ系が好きなら確実にこちら)
★★★★★(最も初心者向け)
旧版(Triangle Mints #23)スパイス・土・ガス・ミントのクラシック系
(甘さはほぼ無い)
★★☆☆☆(好みが分かれる)

→ 香り重視なら絶対に「公式版」。

■ 2. 効果で選ぶなら?

タイプ精神作用身体作用初心者向け度
公式 Wedding Cake穏やか・明るい多幸感ゆるい鎮静・心地よいボディ感★★★★★(丸くてバランスが良い)
旧版(T.M.#23)強めの高揚 → その後重沈静重量級ボディストーン・眠気が強い★★☆☆☆(人によって重すぎる)

→ 効果が優しいのは「公式版」。重めが好きなら旧版。

■ 3. 初心者はどっちを選ぶ?(結論)

  • 初心者・甘い香りが好き → 公式 Wedding Cake 一択
  • 強力な OG 的沈静が欲しい → 旧版(T.M.#23)
  • ケーキという名にふさわしい味 → 公式版のみ

旧版はミント×スパイス×ガスのクラシック寄りで刺激が強く、
初心者は「ケーキっぽくない」と感じる可能性が高い。

■ 4. 栽培者の場合:どちらが育てやすい?

タイプ栽培難易度安定性おすすめ度
公式 Wedding Cake中級者向け(湿度管理が必要)比較的安定★★★★☆
旧版(T.M.#23)中〜上級者向け(表現型のバラつきが大きい)低〜中★★★☆☆

→ 栽培者は公式版の方が再現性が高く扱いやすい。

■ 5. 一目でわかる総合比較

項目公式 Wedding Cake旧版(T.M.#23)
香り甘クリーム・バニラ・ケーキスパイス・土・ミント・ガス
体感明るい多幸 × 優しい鎮静強烈高揚 × ヘビー沈静
初心者向け★★★★★★★☆☆☆
ケーキ感圧倒的に強いほぼ無し
栽培比較的安定表現型ブレが大きい

結論:
香り・体験・扱いやすさ、すべての面で初心者は「公式 Wedding Cake」がおすすめ。

考察ノート|Wedding Cake の「二系統問題」を研究者視点で読み解く

Wedding Cake という品種は、世界的な知名度を持ちながら、
公式版(Seed Junky)と旧版(Triangle Mints #23)という“同名異株”が同時に存在するという
極めて珍しい二重構造を持つ。
この現象はハイブリッド史の中でも重要な研究対象であり、
本ノートでは ①遺伝学的分岐 ②化学構造 ③文化的二重性 ④ブリーディング史的意義
という 4 つの観点から深く解析する。

1. 遺伝学的視点|なぜ同名の別株が生まれたのか?

Wedding Cake の二系統問題の核心は、
“表現型選抜(Phenotype Selection)” の差異にある。
旧版である Triangle Mints #23 は、
Triangle Kush × Animal Mints の中から選ばれた特定フェノであり、
甘さよりも、スパイス・土・ガスを強く受け継いだ個体だった。

一方、Seed Junky はこの交配から
甘クリーム × バニラ × スパイス が最も強い個体を「正式 Wedding Cake」として固定。
つまり、同じ交配でも選抜方向が180度異なったことで、
別物レベルの香気・体感差が生まれた。

この現象は、Gelato 系(特に Sherb × Mint 系)に典型的な
高異質性(遺伝子の揺らぎ)が関係している。

  • 甘香に振れれば「ケーキ」寄り
  • ガス/土に振れれば「ミント OG」寄り

つまり Wedding Cake は、
交配構造そのものが「二岐化しやすい遺伝的土台」を持っていたと言える。

2. 化学構造の観点|甘い“ケーキ香”はどこから生まれた?

Wedding Cake の甘香は、Animal Mints の中でも
リナロール × リモネン × β-カリオフィレンがバランス良く発現したフェノにのみ現れる。
この三点セットは、現代スイーツ系(Runtz / Gelato / Biscotti)に共通する“クリーム系フローラル”を形成する。

対して旧版(T.M.#23)は、
ミルセン × β-カリオフィレン優勢のため、
OG 的な土・ガスが前面に出る。
同じ交配でありながら化学プロファイルに明確な分岐が生まれた背景には、
Gelato 系譲りの「表現型の揺らぎやすさ」がある。

要するに、Wedding Cake の“ケーキ感”は遺伝必然ではなく、選抜による人工的な固定なのだ。

3. 文化的二重性|誤認がそのまま文化として根付いた稀有な例

Wedding Cake が特異なのは、
誤命名された旧版が世界で先に普及し、公式が後から修正に入ったという点である。
これはカンナビス史上でも珍しく、結果として次の文化が生まれた。

  • 「自分が吸った Wedding Cake はどっち?」問題が常に議論の中心に
  • レビューサイトが後から訂正するという前例のない事態
  • 甘系ユーザーとガス系ユーザーで評価が真っ二つに分かれた
  • 名称混乱そのものが“文化的価値”になった

このように Wedding Cake は、
遺伝学的現象 × 情報伝達のゆらぎ × 市場の解釈が複雑に絡み合い、
「二重文化」を形成した稀有なケースである。

4. ブリーディング史の観点|Wedding Cake が残した影響

Wedding Cake(公式版)は、
“スイーツ × ガス”という現代ハイブリッドの黄金式を確立した元祖である。
この設計思想はその後、次の代表株へと継承された。

  • Ice Cream Cake
  • Jungle Cake
  • Angel Cake
  • Birthday Cake
  • Jealousy(スイーツ × ガスの最高峰)
  • Permanent Marker(第四世代 Sweet Gas)

Wedding Cake は、「ケーキ系」の単なる元祖ではなく
Gelato 系第三世代 → Jealousy/RS11 第四世代へ続く
大きな流れのターニングポイントでもある。

【研究者総括】Wedding Cake をどう定義するべきか?

研究者視点での結論は次の通りである。

  • Wedding Cake の“本流”は Seed Junky 公式版である。
  • 旧版(T.M.#23)は正式な Wedding Cake ではなく、表現型の一種にすぎない。
  • ただし旧版は文化的重要性が高く、「ケーキ名の混乱」を広めた歴史的株でもある。
  • Wedding Cake 現象は「表現型の揺らぎ → 誤命名 → 市場流通」の典型例であり、研究価値が高い。
  • 本系統は現代スイーツ × ガス時代の基礎であり、Jealousy/RS11/Permanent Marker へ続く進化系の起点。

つまり Wedding Cake は、
遺伝的・化学的・文化的すべての文脈で“二重構造”を持つ特異株であり、
その特異性こそが現代ハイブリッドの理解に欠かせない要素となっている。

【重要な注意事項|日本国内の読者の皆さまへ】

本記事は、海外で合法的に栽培・販売されているカンナビス(Cannabis)品種
「Wedding Cake」および関連系統に関する、遺伝学・化学特性・文化背景の研究的解説を目的としたものです。
日本国内での大麻の所持・使用・栽培は、量の大小を問わず 大麻取締法により厳しく禁止されています。

本記事には、海外で合法的に流通している品種や遺伝構造に関する情報が含まれますが、
日本国内での使用・所持・栽培を推奨する内容ではありません。

本記事は以下の目的のみに限定されます:

  • ● 世界的に流通しているカンナビス品種の研究情報の整理
  • ● 海外の合法市場における遺伝学・化学プロファイルの学術的紹介
  • ● 国際的な品種名称の混乱・文化的背景についての資料提供

日本国内において、以下の行為は法律で処罰対象となります:

  • ・大麻草(花・葉・根・茎)や樹脂の所持
  • ・大麻を含む製品の使用・売買
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本記事は、日本法に従った安全な情報提供を行うものであり、
日本国内での違法行為を助長・推奨する意図は一切ありません。
海外で合法的に運用されているデータを、研究・教育・文化理解の範囲で紹介しています。

海外旅行者・在外邦人の方へ:
渡航先の国・州によって大麻の法律は大きく異なります。
各地域の法律を必ず確認し、現地法に従って行動してください。
また、日本国民は海外での違法行為についても、日本の法律で処罰され得るケースがあります。

本記事を通じて、世界のカンナビス文化や遺伝学への理解が深まり、
健全で安全な知識習得の一助となることを願っています。

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