はじめに
NOVA(Nova OG) は、スペインのブリーダー Anesia Seeds によって開発された、高THCのインディカ優勢ハイブリッドです。
公式データでは THC 約32%、遺伝構成は 80% Indica / 20% Sativa とされ、2010年代後半の「高THC競争」の文脈でしばしば名前が挙がる品種のひとつです。
Nova OG は、古典的な OG 系の重いボディ感と、キャンディ/フルーツ寄りの甘い香りを併せ持つことから、
「クラシックOGの陶酔 × 近代的スイートフレーバー」 を統合した高効能ハイブリッドとして位置づけられています。
基本情報(Complete Profile)
- 品種名: NOVA(Nova OG)
- ブリーダー: Anesia Seeds
- タイプ: インディカ優勢ハイブリッド(約 80% Indica / 20% Sativa)
- 交配: OG 系統 × 非公開エリートカット(公式に “Genetics: UNKNOWN” と明記)
- THC: 最大 32% 前後(複数シードショップ・ラボ報告で「up to 32%」)
- CBD: 1% 未満
- CBG: 0.3〜0.8%(推定レンジ)
- 主要テルペン: リモネン、ミルセン、β-カリオフィレン、リナロール
- フレーバー: キャンディ、バブルガム、甘いフルーツ、レモン、軽いスパイス/ペッパー、土っぽさ
- 効果: 強い多幸感と集中 → 後半は深いボディリラックス
- 栽培難易度: 中〜上級者向け
- 開花期間: 8〜9週(屋内)
- 収量: 屋内 500〜550g/m² / 屋外 550〜650g/株
- 系統的位置づけ:
“ハイポテンシーOG(High-Potency OG)” の初期代表株であり、
OG基盤の F1エリートハイブリッドと推定される
(※遺伝情報は非公開のため推定分類)。
遺伝構造(Genetic Structure)
Nova OG の遺伝構造は、Anesia Seeds 公式でも 「Genetics: UNKNOWN」 とされ、具体的な親株名は公開されていません。
ただし、多くのシードショップ解説・栽培レポートを総合すると、以下のような“構造モデル”が妥当と考えられます:
- 母系(推定): OG Kush 系インディカ(高THC・高樹脂量・重いボディ感)
- 父系(推定): 高THCエリートカット(詳細非公開)
事実として言えるのは:
- インディカ 80% 前後の明確なインディカ優勢
- OG ラインに典型的な厚い樹脂・重い花・強いリラックス感
- THC 32% クラスのハイポテンシー設計
具体的な親名を断定するエビデンスは現時点で存在しないため、本記事では 「OG 系を基盤とした高THCインディカ優勢ハイブリッド」 というレベルに留めます。
化学的プロファイル(Cannabinoid & Terpene Profile)
公開されている種子バンク・ラボ分析を統合すると、Nova OG のケモタイプは次のように整理できます:
- THC: 約 30〜32%(多くのソースで “32%” or “up to 32%”)
- CBD: 0〜1% 未満(高THC Type I)
- CBG: 0.3〜0.8%(OG 系高効能株と同程度のレンジ)
- タイプ: Type I(高THC・低CBD 型)
- テルペン総量: 約 1.5〜2.0%(報告レンジ)
代表的テルペン構成(推定)
- ミルセン: 甘い土っぽさ・ボディリラックスの基盤
- リモネン: 柑橘の明るさ・初期高揚感
- β-カリオフィレン: スパイス・ペッパー・深い陶酔感
- リナロール: キャンディ/バブルガム的な丸みのある甘さ
これらの組み合わせにより、Nova OG は典型的な 「高THCインディカ:強い精神作用+重いボディ」 を示しつつも、香り自体は OG 直系ほどガス一辺倒ではなく、甘いキャンディ/フルーツ系のトーンが前面に出る構造を持っています。
香りとフレーバー(Aroma & Flavor)
公式および複数ショップの記載から、Nova OG の香りは次のように表現されます:
- トップ: キャンディ、バブルガム、甘いシトラス
- ミドル: フルーティ、軽いコーヒー/ナッツ、ハーブ
- ボトム: 土っぽさ、樹脂、スパイス(ペッパー)
吸入時は甘いキャンディと柑橘が立ち上がり、呼気では OG 系に近いスパイシーさ・樹脂感・ごく軽いガスクオリティが現れます。
古典的な「ガチOG」のディーゼル臭というよりは、甘さが前、ガス/スパイスが奥にいるタイプと言えます。
効果と体験(Effects & User Experience)
公開レビュー(Growdiaries・Weedmaps 等)を総合すると、Nova OG の体験は概ね次のように整理できます:
- 初期(0〜20分):
強い頭部の高揚感、集中力の向上、ポジティブなムードの立ち上がり - 中盤(20〜60分):
多幸感とともに、身体の重さ・筋肉の緩みがじわじわ強くなる - 後半(60分以降):
しっかりしたボディストーン。ソファ向き/リラックス向きのフェーズ
THC濃度が非常に高いため、耐性のないユーザーには向かないレベルの強度とされます。
少量でも十分な作用が出るため、海外レビューでも「experienced users 向け」と明記されているケースが多いです。
栽培特性(Cultivation Characteristics)
Nova OG は、インディカ優勢でありながら OG 系らしくやや繊細な管理を要求します。
- 栽培難易度: 中〜上級者向け
- 開花期間: 8〜9週(屋内)
- 収量: 屋内 500〜550g/m² / 屋外 550〜650g/株
- 高さ: 室内 90〜120cm / 屋外 150〜200cm(ブリーダー公表値)
- 適性: インドア/アウトドア両対応
OG 系ゆえに:
- 湿度が高いとボトリチス(灰色カビ)のリスクが上がる
- 高THC株らしくトリコームは非常に厚く、花は重く密に締まる
- 強光環境でポテンシャルを発揮するが、過剰ストレスには弱い
乾燥〜キュアでは、甘いキャンディ香を残すために低温・緩やかな乾燥が推奨されます。
文化的背景と評価(Cultural Impact)
Nova OG は、2010年代後半〜2020年代初頭の「高THCインディカ」の文脈で、“32%級ハイブリッド” として一部メディア・ショップに取り上げられてきました。
世界最強レベルとされる Chiquita Banana(30〜33% THC報告)などと同様、Nova OG も「30%を超える THC」をテーマにした記事でたびたび言及されており、
「高効能インディカ優勢ハイブリッド」の代表例の一つとして扱われています。
ただし、RS11 や Runtz のようにカルチャーアイコン化したわけではなく、
あくまで“テクニカルに強い OG ベースのハイブリッド”という位置づけに留まっています。
その意味で Nova OG は、「味とストーリーで押すポストRuntz世代」ではなく、「数値と効能で語られる高THC期」の象徴に近い存在だと言えます。
ハイポテンシーOGとは?(High-Potency OG の定義)
ハイポテンシーOG(High-Potency OG) とは、クラシック OG Kush 系統が本来持つ
「強い陶酔・重厚なボディ感・高樹脂量」 を保ちながら、
THC 30%前後〜30%超 の高効能を安定して発現するよう設計された
“現代型 OG ハイブリッド” の総称である。
2000〜2010年代前半の OG Kush は、陶酔は強力である一方、THC 含有量は
18〜24%程度 に留まることが一般的であった。
しかし 2015 年以降、育種技術の進歩と厳密なラボ選抜により、以下の形質を備えた
効能特化型 OG ライン が誕生した。
- THCAS(THCA合成酵素)の高活性化 — 高THCを安定発現する遺伝的基盤
- β-カリオフィレン × ミルセンの強化 — 重厚で深い陶酔を形成
- 高トリコーム密度 — OGらしい“樹脂の重さ”を保持
この結果生まれたのが、“ハイポテンシーOG” と総称される近代OGグループである。
これらは、クラシックOGの陶酔構造を維持しつつ、現代の商業基準である
30%級THC に到達した点で歴史的な転換点となった。
NOVA(Nova OG) はこの流れの中で生まれた代表株であり、
- OGの陶酔を保持しつつ
- 30%超の高THC域へ適応した
- “クラシック × モダン” の橋渡し株
として位置づけられる。
つまり NOVA は、単なる高THC株ではなく、OG Kush 系統の進化形として
“ハイポテンシーOG” を象徴するモデル株である。
考察ノート|NOVA に見られる「高効能OGハイブリッド」の設計思想
NOVA(Nova OG)は遺伝情報が非公開であるため、RS11 や Jack Herer のように“遺伝座ベースの分析”はできない。それでも、公開ラボデータ・香気構造・育種傾向を総合すると、本株が「高効能OGの現代化」を象徴する位置にあったことは明確である。
1. 遺伝非公開株が“評価された理由”
NOVA は、遺伝が明かされないにも関わらず 30%級の THC と、レモンクリーム × ガスの香気バランスにより、2018年当時の欧州市場で一気に注目された。これは「高THC株=刺激的」という先入観を覆す、“高効能でありながら丸い陶酔”が背景にある。
2. 高THCでも“不安を出さない”構造
ラボ傾向から推測される NOVA の核は、リモネン × ミルセン × β-カリオフィレン の三点で、これにより典型的高THC株の「急激な立ち上がり/不安」を抑え、刺激 → 沈静 の二相構造が形成されている。
3. “ポストOG時代” の橋渡し株
OG Kush のガス香・深い陶酔を保持しつつ、リモネン/リナロールが甘さと丸さを付与しており、OG × Sweet 系ハイブリッドの発展点として後の Cookies 系や Banana 系へ接続するモデルを先取りしていた。
【総括】
- NOVA は遺伝が非公開でも、香気構造とラボ傾向から“現代型高効能OG”として位置づけられる。
- THC 30%級でも体感が“丸い”点はテルペンの三点協調(リモネン/ミルセン/カリオフィレン)に起因する可能性が高い。
- クラシックOGとスイート系の中間に立ち、2018〜2020年の高効能トレンドを象徴した株である。
日本国内での注意喚起
本記事は、カンナビス(大麻)品種の遺伝的背景・化学的特性・文化的文脈を記録・研究することを目的としており、
いかなる形でも大麻の所持・使用・栽培を勧めるものではありません。
日本国内では、大麻取締法により大麻の所持・譲渡・栽培・使用が厳しく禁止されています。
これらの行為を行った場合、刑事罰の対象となります。絶対に行わないでください。
また、海外の合法地域であっても、高THC製品の使用には依存・認知機能の低下・精神的な不調などのリスクが報告されています。
利用を検討する場合は、必ず現地法と医療従事者等の専門的な助言を確認する必要があります。
本サイト「Cannabis Strain Wisdom」は、教育・情報提供・文化研究を目的として運営されており、
科学的理解と法令遵守の両立を強く推奨します。
※本考察は公開系統データ(Anesia Seeds 公開情報)、Lab Reports 2018–2024、主要ストレインデータベースの統合比較をもとに、2025年時点の情報で再構成。